現代短歌社 第1歌集文庫 1ページ

既刊(単行本)

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第1歌集文庫
荻本清子歌集

河と葦

解説・四元仰
ISBN978-4-86534-127-0

著者二十歳から二十八歳までの精神史である。若者としての止むに止まれぬ 飛翔へのあこがれと脱出への思いをひたむきにうたいあげた作品群。 その作品を「野ぶどう」「河と葦」「地の斑」「轍」「軌条」「距離」と 六章に構成することによって著者の青春の精神の遍歴がより克明にうきぼりにされ 、時代がくっきりと切りとられている。(解説)
昭和41年五月書房より刊行。

価格:720円 数量:
荻本清子歌集 河と葦 書影
裸電球低く吊るして縫う母らその背のかぎり寒波は襲う
軒先に葦つみ重ね冬を越すふるさとは母皺深めゆく
滑翔をとげいるわれへからみからみつき風より強きはなし
虹のごと懸るかなたの跨線橋へだてて劇のなかなる台詞

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第1歌集文庫
大塚布見子歌集

白き假名文字

解説・一ノ瀬理香
ISBN978-4-86534-127-0

昭和58年表現社より刊行。40代の作品を中心に「四季」「招魂」「古都」の3部からなる。 著者はこの6年前の昭和52年に歌誌「サキクサ」を創刊しており、短歌への願いがこめられた歌集となった。

価格:720円 数量:
大塚布見子歌集 白き假名文字 書影
小暗きに降りくる雪は天よりの白き假名文字とめどもあらず
雨のあとの夕映えあはくさしければさくらはさとく茜にうるむ
きさらぎの日の明るけれ山鳩の声はひかりの果てよりする
平らかに心あるとき米粒をひたと沈めて磨ぎみづ流す

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第1歌集文庫
小柳素子歌集

雪柳

解説・永井正子
ISBN978-4-86534-109-6

まさに「聖女」のイメージである作者。生後一か月余りで軍人だった父を北千島方面で失っている。 深井母の庇護の下、清く美しく生い立ったであろうことは想像に難くない。聖女が一途に生きて初めに遭遇する悲しみがこの集である。

(解説より)
序・来嶋靖生/解説・永井正子
平成6年本阿弥書店より刊行。

価格:720円 数量:
小柳素子歌集 雪柳 書影
悪しきことは出来ぬと思ふわがうちに眼鋭き聖女棲みゐて
生れし子の薄桃色に透く爪を剪りて小箱にその爪仕舞ふ
腎生検受けゐる吾子と母われと分かちてドアは固くとざさる
鯨幕めぐらす母の家があり乗りつぎ乗りつぎ着きたる里に

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第1歌集文庫
横山三樹歌集

光の海へ

解説・橋本喜典
ISBN978-4-86534-103-4

これは私の最初の歌集である。昭和五十三年から平成元年まで、およそ十年間の作品四百八十三首を収めた。 この期間私にとってまさに第二の人生――三十一年間勤めた会社を退職する前後からの十年間の総括なのである。

(あとがき)より
序・窪田章一郎/解説―自励の歌―・橋本喜典
平成2年大塔社より刊行。

価格:720円 数量:
横山三樹歌集 光の海へ 書影
さらばわが手にかけし書籍を一つ一つ机に立てぬ墓標のごとく
言ふべきことは言はで別れし悔しさ身のうちに滾る夜独り居て
学徒兵学語るなき内務班に明日の命を託して過ぎしき
荊妻に内裏雛一式贈りたり三十五年の結婚記念日

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第1歌集文庫
佐波洋子歌集

鳥の風景

解説・谷岡亜紀
ISBN978-4-86534-098-3

いつの場合もことばは心に及ばない、そんなもどかしさを感じながらこの詩型に惹かれて来た。 なぜこの詩型かととわれれば制約があるから、というごく当たり前のところに私の歌の出発はあった。 削ぎ落としてこれ以上は削ぎ落とせないというところに残ったものが、詩的本音だと思っている。 (あとがき)より
昭和61年牧羊社より刊行。

価格:720円 数量:
佐波洋子歌集 鳥の風景 書影
折おりを陽にまみれつつ降る雨は天の微塵と光かげを頒けあう
死を思う母のうなじ細ければ背負われしわが喉も細れる
物を食むきみの口中くらぐらと菊の花など含みてゆきぬ
雷鳴の遠き夜半を細き首伸ばして翔べる鳥一羽見ゆ

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第1歌集文庫
安森敏隆歌集

沈黙の塩

解説・太田代志朗
ISBN978-4-86534-084-6

ポトナム代表を努める著者の存在と根源を問おうとする意欲にあふれた267首。
昭和54年新風土社より刊行。
栞・梅原猛、塚本邦雄、河野裕子

価格:720円 数量:
安森敏隆歌集 沈黙の塩 書影
父をこえ赤道を越えなが母はなれをはらみき杳き罪あり
潜めもつちちの貧民窟に無数の燭ともさむとはは冬に嫁しくる
胸ふたつあはせてもなほうづまらぬかたちの愛か秋津かげろふ
はてしなき黄昏くみてねむりを天の上なる沈黙の塩

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第1歌集文庫
日野きく歌集

幾千の夜

解説・水野昌雄
ISBN978-4-86534-067-9

「短詩形文学」発行人の昭和32年から昭和38年まで、 著者24歳から30歳までの作品を収める。昭和38年刊行。
(文庫化に際し縦書きとした)

価格:720円 数量:
日野きく歌集 幾千の夜 書影
人通りなき昼の道 いつまでも 白き蝶われにまつわりて来る
あたたかく底より迫る潮に似て 深きねむりはあけ方きたる
山にくるやさしき時刻 杉の森霧を湧かせてやまざる夕
黙したる幾千の夜よ 死の兵ら 折れたる剣を握りたるまま

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第1歌集文庫
光本恵子歌集

薄氷

解説・内藤明
ISBN978-4-86534-043-3

ここにあるのは詩のための詩ではない。まず生きて葛藤している作者がいて、 その生活と感情の表出として短歌がある。そしてその感情のありのままの表現として、 現代の言葉、五七の枠にとらわれない自由な短歌の形がとられたといえるだろう。(解説より)
短歌作品441首と、産後の大患を綴った散文「闘病記」を収める。昭和61年刊行。
序・宮崎信義  跋・金子きみ

価格:720円 数量:
光本恵子歌集 薄氷 書影
暖かいんです ぽかりと空いた心にあの方が住んで下さるから
不合理な因習をきりすてよといきまいても今夏も同じ梅の酸ぱさ
ドス黒く内部からつき動かすものをこの手でえぐりだしたい
冴え渡る星が湖に降てきてそうな夜 宇宙の一角に吐息する私

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第1歌集文庫
さいとうなおこ歌集

キンポウゲ通信

解説・春日いづみ
ISBN978-4-86534-037-2

「未来」で活躍する著者の1974年から1983年までの30歳代の作品を収める。
序・岡井隆 解説・大島史洋

「日々の慌ただしさのなか、歌を作ることで、 自らを問い、見つめる作者の理性的な姿勢を感じると共に、おおらかで温もりのある、 しかも透き通るような感覚が作品に落着いた輝きを添えている」(解説より)

価格:720円 数量:
さいとうなおこ歌集 キンポウゲ通信 書影
いつよりかわが胸に棲む悲しみがひといろの旗を掲げてきたる
雪明かりに夫の視線を感じる夜うつむきて薄き紅を落とせり
妻や母であらざる刻に少しずつ菜の花色のストルを編む
しっかりと子を抱えなお不安なり裏切りはせぬかわれの双手が

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第1歌集文庫
田中子之吉歌集

現身

解説・田村広志
ISBN978-4-86534-025-9

歌集『現身』は、昭和二十四年から三十七年に至る間の作品四百三首を収めた一冊である。 中でも巻頭に当る二十四年は人生の起点とも言うべき要になるもので、青山墓地下に転居した師の家に泊り込んで、 「歩道」の発行を手伝い、師夫婦との絆をより深いものにした年であり、また明治大学文芸科を卒業して高校の教諭になり、 後に妻として娶ることになるが、教師としてはタブーであったであろう清純な女生徒への熱心な恋心を募らせる。歌集の重要な主題の一つ、 可憐な少女との心震えるような愛と欲望の数々の歌は、例えば茂吉に於ける「おひろ」一連を想起せしめるほどのものがある。(解説より)

価格:720円 数量:
田中子之吉歌集 現身 書影
迷彩をしたる変電所の高窓に夕日が赤く映ゆる一時
形なきめぐりの声に怯えつつひそかに逢を吾ら重ねつ
眼閉ぢてゐたるやさしさよ口づけし眉にふりつつうつつともなし
竹群にこもりしきりに鳴く鳥の悲しみのなき声といふべし

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第1歌集文庫
金子貞雄歌集

孀娥の森

解説・田村広志
ISBN978-4-86534-019-8

物心ついた時既に母は戦争未亡人であったという。若い聡明な寡婦は身を挺して農業を完遂し、 無言の教えを一人子に及した様である。少年も学齢を過ぎれば、いっぱしの働き手として田水の冷たさを知ったのであろう。 労働の代償に限りない大地の恩恵を感受した柔らかな魂の成長が歌の背後に感じられるのであった。(跋より)
序・大野誠夫 跋・岩﨑雅子
「作風」編集・発行人の昭和40年から昭和55年の作品を収める。 昭和56年刊行。

価格:720円 数量:
金子貞雄歌集 孀娥の森 書影
機織りの母のかたはらにひとりゐて馬の絵を描く父なき吾は
夕つ陽を突き刺し万能振りおろす意地を見よとぞ孀娥の母は
引き入れて川水かける吾が牛の泥も涙も洗はむとして
かぜ凪ぎし春のゆふべも騒ぎゐて小鳥群れ棲む孀娥の森は

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第1歌集文庫
角宮悦子歌集

ある緩徐調

解説・木原美子
ISBN978-4-86534-015-0

人はそれぞれが一つの宇宙を持って、その中で生きている。決して他人が入り込むことの出来ない、 自分しか認識出来ないこころの宇宙は自分のみが背負っていくしかないのだ。 命の灯火として短歌に己を投げ入れ確立した自分の世界。それは哀しみを抱きながらそれをバネとして昇華した、 美の世界の獲得であった。歌集中にきらめいている相聞歌、女を振りかざすことのない彼女の真向かう性の賛歌。 それは己が女の究極を詠んで美しい。(解説より)
昭和32年から49年までの作品を収録。昭和49年刊行。
序・前田透 解説・木原美子

価格:720円 数量:
角宮悦子歌集 ある緩徐調 書影
そびらより淋しき風の羽交絞めすでに失ふものもたざれば
夕べとも夜明けともつかざる薄明へ紛れて行きし死後のわが影
あかつきの霧にまぎれる薔薇盗人もとも淋しき遠景となれ
麦踏んで遠ざかる父わが呼ぶを声消しながら昼の木枯

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第1歌集文庫
鶴岡美代子歌集

解説・小高賢
ISBN978-4-86534-014-3

「軽雪」発行人の昭和61年から平成8年の作品より488首を収める。自己を見つめ、日常生活を深く掘り下げ、ひたむきな人生を詠う。
序・土屋正夫 平成9年刊行

(土屋先生の)ご指導の一つに「読め、歩け」ということがございました。土屋先生自身、師の松村英一先生から受けた訓えとお聞きしておりますが、 私も順うべく努力してまいりました。(あとがきより)

価格:720円 数量:
鶴岡美代子歌集 蓮 書影
夜の更けに帰りたる夫いつになく手負ひの猫に声のやさしも
街角に人の恋しくながむるに人は背ばかり見せて過ぎゆく
だぶだぶの作業衣つけてブロクを積みをりもしかボトピプル
どこの釘と訝るおもひもろともに一瞬掃除機吸ひてしまへり

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第1歌集文庫
山名康郎歌集

冬の旗

解説・石橋妙子
ISBN978-4-86534-014-3

この『冬の旗』には、獣、鳥、虫が多く歌われている。 いずれも山名康郎の孤高と反骨精神とロマンを分かつ存在であり、内臓されている強靭な道産子魂が捉えた対象といえよう。  時はまさに前衛短歌の旋風が吹き全盛のさなか、華麗な歌群の魔性に魅せられつつ、批評と憧憬の念を交錯させて、 『冬の旗』は現実の奥に潜む詩的真実の追及と、あくなき検証を繰返し、山名康郎の詩界の構築がなされてゆくのである。(解説より)
昭和48年から昭和60年4月までの作品294首を収録。
昭和60年刊行。

価格:720円 数量:
山名康郎歌集 冬の旗 書影
いちじんの疾風となりて野を駆ける馬あり鞍に人間をらぬ
やがて人間に食はれてしまふ鮟鱇が凍れたるまま目をあけてをり
振りむけば枯野向うもまた枯野風に逆らひてゆく人があり
裸木に鴉が一羽日暮れても飛び去りゆかず木の瘤となる

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第1歌集文庫
鵜飼康東歌集

断片

解説・大辻隆弘
ISBN978-4-86534-009-9

世に佐太郎エピゴーネンは数多い。「あるときは」とか「たちまちに」といった佐太郎の語彙を模倣して、彼の歌の文体を真似ることは比較的たやすくできるのである。 が、一方で、世界の深淵を覗く佐太郎の「眼」を受け継ぐことは極めて難しい。それは、佐太郎の生来的な資質であり、努力いかんによって受け継ぐことは困難だからである。 が、鵜飼の歌は、その継承しがたい「眼」を、佐太郎から受け継いでいる。その意味で彼は、きわめて本質的・正統的な佐太郎の弟子なのだ。(解説より)
昭和46年から昭和55年までの作品より374首を収録。
昭和55年刊行。

価格:720円 数量:
鵜飼康東歌集 断片 書影
沸きたてる油のなかにパンの粉はかすかに焼けて浮き沈みする
ゆらゆらと吊りあげられし鋼材が地に沈みゆく入り日を浴びて
争ひを見るはちひさき愉悦にて路上にひとの群ふえてゆく
外套につきしみぞれの匂ふとき夜の市街に汝なれをともなふ

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第1歌集文庫
實藤恒子歌集

回転扉

解説・雁部貞夫
ISBN978-4-86534-003-7

實藤作品には、どこか硬質な歌の響きがあるが、これは多分に永く私淑されたアララギの先進落合京太郎の影響も有ると思われる。 本集にかなり多い相聞歌の存在は、その硬さを和らげる情感を堪え、読むものに忘れ難い印象を与える。(解説より)
跋・宮地伸一
昭和46年から昭和56年の作品より659首を収録。
平成8年刊行。

価格:720円 数量:
實藤恒子歌集 回転扉 書影
虎杖の赤き芽は萌え素枯れらる薄に靄のまつはる夕べ
十八年が過ぎてゐるなり回転扉を入りて真直に歩み来る君
とよみ絶え飛ぶもなし菩提樹に滴る如き夜半の月かげ
淡々と陰置くアフラシアブの発掘跡幻の如く白き蝶舞ふ

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第1歌集文庫
恩田英明歌集

白銀乞食

解説・大辻隆弘
ISBN978-4-906846-95-5

紛れもない青春の歌集が、ここに出現したことを、わたしは喜びとする。感情の濫費や装飾的饒舌の中にではなく、到達し難い創造のかがやきに向って、 確実な歩みをすすめる忍苦と自己抑制とにこそ、青春の力は照らし出される。玉城徹「『白銀乞食』を推す」(解説より)
昭和56年刊行。

価格:720円 数量:
恩田英明歌集 白銀乞食 書影
獣の生なまあたたかき腹の下思ひつつゆく樹の花季
はなどき
垂れさがる脂あぶらの如し重々と棕櫚の花の噴き出
でてをり
喉渇くわれは泉にはらばひてさびしき空の底を覗くも
日向ひなたきて地下の茶房に降りたれば壁に油彩の
汚れたる薔薇

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第1歌集文庫
椎名恒治歌集

一本の木

解説・片山貞美
ISBN978-4-906846-93-1

あかめがしは・いぬぶな・やまどうしなどどれも植ゑられし冬木の類型 樹木の名もまだ事実性の濃い表現となる。事実を提示して冬木の類型の意味する人間の営みの特殊性具体性を表現しようというのが主題なのであるが、 その見当は相当スマートに現代のリアリズムの行く手を射当てていつように思う。(解説より)
昭和53年刊行。

価格:720円 数量:
椎名恒治歌集 一本の木 書影
潮けぶる海のうへ遠くただわれは見てをり崖の端に来て
踏まれつつ汚れて固き雪のこる北側が家の玄関にして
草白く枯れて立ちたるみちゆきて洞穴のごと家森の口
とどこほりなき音にて流れ過ぎてゆく芥の類につもる花びら

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第1歌集文庫
久々湊盈子歌集

熱く神話を

解説・百々登美子
ISBN978-4-906846-92-4

資質は俳句的でなく、短歌的なのであろうが、わたくしはいつの頃であったか、鋭い、清新な現実のきりとり方をする彼女に秀れた俳句の影響を感じたことがあったが、 それが久々湊盈子の短歌にどのように咀嚼、顕現されているのか、またこれからいくのか、まだよくはみきわめていないが、このへんも興味のあるところであろう。(序文より)
序文・加藤克巳。昭和51年からの5年間の作品に加え初期の35首を収録。昭和57年刊行。

価格:720円 数量:
久々湊盈子歌集 熱く神話を 書影
熱き夜どこかで我を欲りている若者のありうつくしく眠る
血のいろにマニキアひかる爪ながき未婚の冬は
きまなこ持つ
われに未遂の殺意ありしが侘助の花首おちているのみの庭
ひまわりの群落熾烈にもえさかる一すじ道はわが夏の陣

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第1歌集文庫
稲葉京子歌集

ガラスの檻

解説・菊池裕
ISBN978-4-906846-89-4

寺山(修司)は、稲葉さんの第一歌集を「星の王子」と称し、絶賛したのである。恐らく寺山は、稲葉作品に潜む「大切なものは目に見えない」という寓意と、 その純粋な抒情質を逸早く見抜いたのであろう。(解説より)
昭和32年から昭和38年までの作品より320首を収録。
序・大野誠夫。昭和38年刊行。

価格:720円 数量:
稲葉京子歌集 ガラスの檻 書影
紫の樫の芽立ちとわが髪をいたぶるばかりの風とおもへる
心とほき人に届けむ薔薇もわれも驟雨に汚れ昏れ来たる街
盲ひたる少年の街を泳ぎゆくわれよりも心満ちし貌なり
街は今日なにをかなしむ眼球なき眼窩のやうな窓々を開き

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第1歌集文庫
外塚喬歌集

喬木

解説・加藤英彦
ISBN978-4-906846-86-3

一首のなかに血流の鼓動を聞きたければ、外塚喬の歌を読めと私は思ってきた。社会に揉まれながらも、否応なくねじ伏せてくる力に抗する頑迷さは、 鋼のような一本の杭として外塚の精神を支えている。(解説より)
著者十代後半から、三十代前半の作品を収録。
序・木俣修。昭和56年刊行。

価格:720円 数量:
外塚喬歌集 喬木 書影
わがゆくて拒むごとくに褐色の葉をふりこぼす欅の一樹
黙殺さるるごとく職場にゐるゆふべ誰か来てわれを酒にさそへよ
爪の型の貝をひろひて来しわれら夜の潮うしほにぬれつつ眠る
くよくよと歩めるわれを追ひこして犬どもよ闇の中へ消えてゆけ

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第1歌集文庫
伊藤雅子歌集

ほしづき草

解説・橋本喜典
ISBN978-4-906846-83-2

「文は人なり」と言うが、「歌は人なり」という言葉がもしあるとすれば、伊藤雅子さんの歌ほど、その人がらにぴったりの歌はないのではないか。 虚構とか演技とかということが全く不似合の人なのである。それだけに歌は人の無念威まっすぐに入ってくるように思われる。(跋文より)
10年間の作品より396首を収録。
跋・浜田蝶二郎。昭和63年刊行。

価格:720円 数量:
伊藤雅子歌集 ほしづき草 書影
風わたる野に見送れりうち列ね遙か鳥となりつつゆくを
ひかり差す皿の白魚たばしれる水の雫の色なしにけり
呼ぶ鈴の音のひびくにわれはその韻きの中の囚はれ人ぞ
みだれ散る光はただにわれを撃つ雪折竹の立ち直るとき

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第1歌集文庫
藤井常世歌集

紫苑幻野

解説・難波一義
ISBN978-4-906846-82-5

『紫苑幻野』が刊行された一九七六年に、藤井と同じく第一歌集を世に問うた歌人には、雨宮雅子、来嶋靖生、高野公彦、成瀬有などがいる。 同年、河野裕子が第二歌集『ひるがほ』で現代歌人協会賞を受賞。永田和宏の第一歌集刊行が前年、小池光、小中英之のそれがそれぞれ七八、七九年と、 この時期ポスト前衛短歌の若き歌人達の歌集が一挙に出揃った感がある。藤井が『紫苑幻野』の「あとがき」で、発行元の短歌新聞社、石黒清介へ歌集出版の感謝の形で、 「突然とびこんでいってお願いした」という時、当時の若手歌人の熱気の中で、処女歌集出版に賭けた並々ならぬ思いが、ここからは感得されるだろう。(解説より)
461首を収録。昭和51年刊行。

価格:720円 数量:
藤井常世歌集 紫苑幻野 書影
へだてゐるあはひに流れゐる霧のとどまりがたきあゆみとならむ
地を這ひて靄のぼりゆく明け方を生れしばかりの子は覚めている
水漬きたる廃船しづかに揺るるさまひととき見しがくびすかへしぬ
喪の花は胸に思たし旬日をすぎて深まるいたみを待てば

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第1歌集文庫
千々和久幸歌集

壜と思慕

解説・丸山三枝子
ISBN978-4-906846-80-1

わたしは、現実を超え、日常世界と屹立する空間に永遠の生を彫り、存在することへの問いを架けわたしておきたかった。 それはまた、日常をくまどる言葉との戦いであり、わたしの内奥に眠る言葉になる前の世界へ、その言葉によって突出していくことであった。 短歌はその未知の闇と韻律で関係するゲームでなければならぬ。そして表現行為とは、感性によってわたしたちが希求する虹を世界に先立って定立させることである。 (跋文より)
二十数年間の作品より305首を収録。刊行昭和56年。

価格:720円 数量:
千々和久幸歌集 壜と思慕 書影
一匹の蝶が迷いてくる市電雨季を身籠る妻も揺れいつ
父と子の想いどこかで齟齬しつつひそかなるかな水澄ゆくは
すずかけ台つきみ野あざみ野つくし野と虚構なれども町拡大す
空缶の光ることなど記憶して角筈までの道通いたる

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第1歌集文庫
倉林美千子歌集

西風よ

解説・雁部貞夫
ISBN978-4-906846-79-5

本歌集は昭和五十一年から平成元年に至る十四年間に制作された二千首のうちの、五〇七首を小市巳世司氏が選出したものという 。相当に厳選された歌集なのである。本歌集の冒頭部は七十余首の西独ボン滞在中(そこから、いくつかの国々への旅の作も含む)の作品によって占められている。 倉林氏に新しい人生の展開をもたらすことになる時期の作品である。(解説より)
平成2年刊行。

価格:720円 数量:
倉林美千子歌集 西風よ 書影
遠き日の記憶さそひて朝の霧渦巻きゐたりレシング通りに
みまかりし妻を幾度か歎きたるウイン人も新葡萄酒ホイリゲ
に酔ひて歌ひぬ
妻を失ひ日本を離れゆきし子に思ひは至る仕事なき夜は
日本語に離す友無き職場など思ふさへ子よ寂しくはないか

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第1歌集文庫
筒井早苗歌集

遠光る海

解説・吉川宏志
ISBN978-4-906846-78-8

序・加藤知多雄
どの歌もいつかは失われてしまう切なさを秘めながら、豊かな彩りがある。梨園の白が、子の赤い傘が、黄葉の下の川が、作者の見ていたものたちが、 読者の目にも静かに蘇ってくる。過ぎていくものを、ひそやかに他者へ手渡そうとする思い。その願いが、あたたかな優しさを私たちの胸に残すのである。(解説より) 昭和36年から20年間の作品より468首を収録。昭和57年刊行。

価格:720円 数量:
筒井早苗歌集 遠光る海 書影
なだるるごとく君に素直となりし夜の闇より流れくる花の香や
うづ高く薪の積まれし細き道すぐる時かすかに山の匂ひす
うれ覆ふ小さき花むら鎮まりて白き梨園は地より昏れ始む
点しおく夜半の灯りに幾たびの生氏みつめて汚点しみふかき壁

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第1歌集文庫
逸見喜久雄歌集

冬のひかり

解説・雁部貞夫
ISBN978-4-906846-76-4

この一巻の歌集は、昭和四十年代のアララギの生活詠の精華を瑞々しくも体現したものだと言い得る。 混迷する現代の歌の世界の中で、こうした歌集に光を当て直すとき、本書の如きは、却って新鮮な世界を指し示すものだということを私は信じて疑わない。 (解説より)
昭和44年から53年までの十年間の作品より610首を収録。昭和54年刊行。

価格:720円 数量:
逸見喜久雄歌集 冬のひかり 書影
たひらなる枯芝畑の向うには人小さく見え炎搖れをり
なほ我の心の沈む日のつづき庭のアカンサスは鼻莖伸びぬ
川風の吹きくる畑に父とゐて父が刈る桑を我が負ひたりき
のごとく見られてゐるを知りしより我が氣持いたく樂になりたり

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第1歌集文庫
三枝浩樹歌集

朝の歌(マチナータ)

解説・東直子
ISBN978-4-906846-74-0

『朝の歌』は一九四六年から一九七四年の一〇年余りの歌を収めている。もはや再びこのような、パセティックな叫びを歌にすることはあるまい、 と思われる。これは明らかに青年のものであって、現在の私はおのずから別の歌の世界に往している。どちらがいいという単純な比較は控えるべきだろう。 それぞれの年代と時代を生きて、そこから突き動かされるようにして歌は生まれるものであって、そのよしあしを超えて、歌を尊いものに思うゆえである。
(文庫版のためのあとがきより)
解説・永田和宏。昭和50年刊行。

価格:720円 数量:
三枝浩樹歌集 朝の歌(マチナータ) 書影
一片の雲ちぎれたる風景にまじわることも無きわれの傷
喚びかえしおりついおくを少年の首はさながらキリンのようだ
視界よりふいに没するかなしみの先 暗澹と樅そそりたち
教条に水聚あつまりてゆく頃を闇に充ちつつポプラは睡る

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第1歌集文庫
久保田登歌集

雪のこゑ

解説・外塚喬
ISBN978-4-906846-72-6

久保田は初期の頃から誰よりも人間臭い歌を詠い続けてきている。師である木俣修の教えに共感し、さらに吉野昌夫の歌に対してのこだわりを、 今日まで作歌の指針としていることは間違いない。このことは、久保田の作品を五十年の長きにわたって見てきた私には、よく理解できる。(解説より)
昭和41年から17年にわたる作品より489首を掲載。
昭和57年刊行。

価格:720円 数量:
久保田登歌集 雪のこゑ 書影
やがてぼけの花にも埋もるる谷の村をさなき吾子とひと冬越えむ
谷の冬越えたる吾子は野の光浴みつつ白き花を摘みゐる
野蒜のこと教へたる日の放課後に野蒜を束にして児らのくる
死者に吸はせし煙草の燃えさしが残りゐる日本人の墓日本の煙草

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第1歌集文庫
古谷智子歌集

神の痛みの神学のオブリガート

解説・栗木京子
ISBN978-4-906846-66-5

進歩著しい自然科学の前で、言葉など本当は蔑されてしかるべきものかもしれない。しかし、こうした歌に宿っているのは、 古谷の言葉への失望というよりも、その空しさを正しく認識することへの欲望である。(跋文より)
昭和51年から昭和60年の作歌より347首を収録。
跋・春日井建。昭和60年刊行。

価格:720円 数量:
古谷智子歌集 神の痛みの神学のオブリガート 書影
添ひたてば青き樹の下逝きし子の思ひほろほろ落す椎の実
とことはに見まみゆるはなき子のひとみ薄暮の空に兆すと思ふも
酔ひたしとふ君に買ひこし一壜の琥珀の液が重くたゆたふ
そのかみの水の記憶に連なりて春の潮うしほは明るみゐたり

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第1歌集文庫
加藤淑子歌集

朱雲集

解説・秋葉四郎
ISBN978-4-906846-70-2

昭和二十二年に「アララギ」及び「新泉」、「アザミ」に入会して本格的に作歌をしていたから、すでに多くの作品があったが、 本集には、昭和四十一年(四十三歳)から四十七年(四十九歳)までが収められている。円熟期の作品と言っていい。(解説より)
656首収録。昭和56年刊行。

価格:720円 数量:
加藤淑子歌集 朱雲集 書影
わだつみに向ふ木立の蟬のこゑ補陀洛山寺にわれひとり聞く
心きめわれは告げたり目しひむと聞けばその日に自死するもあり
添えもちしカルテを見ればサイパンの戰に傷を負ひて
ひし身
月かげのいづくともなき空の涯かすかに靑し風しづまりて

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第1歌集文庫
温井松代歌集

海と風と光と

解説・橋本喜典
ISBN978-4-906846-65-8

人間の歓びにも哀しみにも逆らうことをしない自然は私にとってこころそのものである。 自然を見据えることは私自身を見据えることにほかならない。(あとがきより)

昭和46年から昭和53年の作歌より406首を収録。
昭和54年刊行。序・大岡博

価格:720円 数量:
温井松代歌集 海と風と光と 書影
わが裡をたまゆら掠め過ぎゆきし翳うとむ夜を澄める虫の音
超えむとし超え難くゐる執ひとつひそめて寒き冬も終らむ
ひと片の雲も浮かべず冬の空乾ける風はそこより湧かむ
踏みゆけば深き落葉の乾く音逡巡の季をわれは越えきて

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第1歌集文庫
横山岩男歌集

風紋の砂

解説・御供平佶
ISBN978-4-906846-64-1

風土や環境に育まれる存在であることを意識しつつ、静かな眼差しをもって自身の在り方を見つめる。(現代短歌新聞第18号・寺島博子)

国民文学発行人である著者の昭和28年から昭和41年までより510首を収める。
昭和42年刊行。序・松村英一

価格:720円 数量:
横山岩男歌集 風紋の砂 書影
霧深き今宵は見えぬ大平の山のあかりを恋ひつつ歩む
日勤者のくる迄にストヴ焚きつけむ一夜燃やしし灰落し居り
手づからに盛りたる甲斐の飯うまし畳涼しき庫裡に坐りて
木洩れ日の光に憩ふ石のうへ波動なすこゑ数の茅蜩

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第1歌集文庫
梅澤竹子歌集

槻の木

解説・田野陽
ISBN978-4-906846-62-7

歌集名「槻の木」は、家の南に拡がる畑をへだて対ひ合つてゐる木立で、四季それぞれの様子を見ることができます。 この近辺には、林のほかに一二の可成りの樹齢の槻が処々に繁つてをり、枝を張つて伸びのびと立つ此の木に私は心ひかれて住んで居ります。 (あとがきより)

昭和44年より58年の作品784首を収録。昭和61年刊行。
帯・序 土屋文明

価格:720円 数量:
梅澤竹子歌集 槻の木 書影
春嵐をさまる槻の木の林よりふたたびみたび山鳩のこゑ
やさしさに触れてやさしくなる思ひ菜を洗ふ手水に受けてゐつ
閉づる窓の下は道路にてキ夫人住みにし家もさりげなき街
杖つきて木の下道に送りたまふ先生御夫妻を霧のこめたり

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第1歌集文庫
永田和宏歌集

メビウスの地平

解説・吉川宏志
ISBN978-4-906846-58-0

塔を率いる著者の28歳の歳に限定出版された貴重な歌集。若々しく緊密な韻律で美しく起立する歌群。
昭和50年刊行。

価格:720円 数量:
永田和宏歌集 メビウスの地平 書影
失踪の象かたちしなやかに凍りつきよも
すがらなる風よ 木馬に
弓なり橋さえ耐えているものをどうしようも
なく熟みのりゆく性
きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバ
スに揺られていたり
ラトストラ思えばはるかゆうぐれと夜
のあわいをのぼる噴水

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第1歌集文庫
秋山佐和子歌集

空に響る樹々

解説・米川千嘉子
ISBN978-4-906846-59-7

何かが起きている瞬間よりも、あるひと時が過ぎた静けさや存在の痕跡のなかに作者は対象をいっそう深く思い返し、愛す。そこに柔らかく凪いでゆく世界がある。
(純真に発露するもの・米川千嘉子)
「人」短歌会入会より10年間の作品390首を収める。
昭和61年刊行。

価格:720円 数量:
秋山佐和子歌集 空に響る樹々 書影
物思ふ麒麟のごときクレン車澄む秋空に佇
みてゐる
次郎子に乳あたふれば寄りて来し太郎子はは
や寝息たてをり
ざぶざぶと顔洗ひをりわがために泣く涙など
もう溢るるな
ほほづきの籠にあふるる花屋すぎ夕べの素足
ややあたたかき

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第1歌集文庫
平林静代歌集

寒立馬

解説・日高堯子
ISBN978-4-906846-57-3

「かりん」創刊から61年までの375首。昭和61年刊行。
跋・岩田正
装幀・伊藤鑛治

価格:720円 数量:
平林静代歌集 寒立馬 書影
切り岸に白く騒だつ能登の海夫よりわれ
へのメジフ
ほとばしる水もて洗ふ印画紙に能登金剛
の波盛りあがる
氷枕に流れてやさしふるさとの新河岸川
の春の水音
ひと夜ちちを目守りし目に沁み入りてき
のふとちがふ今日を風吹く

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第1歌集文庫
石橋妙子歌集

花鏡

解説・来嶋靖生
ISBN978-4-906846-56-6

通覧してやはり強調したいのは作者の独特の美意識である。正字使用もその一例と言えるが、鋭さと新しさ、また逆に伝統への執着も深い。短歌という詩形式がどこまで可能か、そこに挑む姿勢がいさぎよく、さまざまの作品に結実している。(解説・美意識の魔)
「潮音」入社後25年間に詠出された中から415首を収録。
昭和53年刊行。 跋・倉地與年子

価格:720円 数量:
石橋妙子歌集 花鏡 書影
孤高なる燈薹のたつ陸のはて椿たわわに紅を
滲ます
鈴つけし毒藥棚の鍵の束白衣のポケトにと
きに鳴りあふ
鷄頭の紅さかりなる海女部落老いにし海女の
低きくりごと
伏の水しみ出づる野のおもて淺黃に草のはな
やぎ萌ゆる

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第1歌集文庫
松岡裕子歌集

無援の秋

解説・神谷佳子
ISBN978-4-906846-55-9

思春期を戦争の中ですごし、虚と実、見るべきものをしかと見届けてきた女性の作品集。
昭和30年「白珠」入社以来13年間の作品から433首収録。昭和44年刊行。
序・安田章生

価格:720円 数量:
松岡裕子歌集 無援の秋 書影
かくばかりさやかに転身は成されゐて蝶
飛べり朝の光の中を
鋭角に空断たれたる街に住み少年はひと
り熱帯魚飼ふ
編みいそぐ指先あつくこはばりて激しき
一つの思ひに耐ふる
蒼穹の限りもなきにそばだちて塔に無援
の秋ふかまりぬ

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第1歌集文庫
黒田淑子歌集

丘の外燈

解説・平井弘
ISBN978-4-906846-54-2

著者34歳の昭和38年刊行。角川短歌賞(第7回昭和36年)次席「青」の作品を含む。
カット・黒田貞次郎

価格:720円 数量:
黒田淑子歌集 丘の外燈 書影
吹かれつつ降る淡雪のやみしとき月冴え
冴えと青き夜は来る
いのち削ぐ思ひに一日過ぎたりしわが血
脈の太く浮きゐる
席たちて湯の沸くをまつひとときに湧き
くる思慕も愚かなるべし
淡雪に髪ぬらしつつ歩みをとりなつかし
き不意の出会ひはなきや

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第1歌集文庫
桑原正紀歌集

火の陰翳

解説・木畑紀子
ISBN978-4-906846-53-5

短歌に「思想を盛る器」の可能性を見いだした第一歌集。
コスモス選者の27歳から38歳の作品393首を収録。
昭和61年コスモス新鋭歌人シリーズとして刊行。

価格:720円 数量:
桑原正紀歌集 火の陰翳 書影
篝火は燃えはじけつつをりをりを翳りて
ふかき闇を顕たしむ
書棚とふ絶壁に夜々を寄るならひ自愛と
も自虐とも思ひまた寄る
幾つもの掌のごとき葉に見え隠れ無花果
は赫き肉ひらきをり
壜の中に皺ふえてゆく梅の実はわが未完
なる出エジプト記

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第1歌集文庫
小高賢歌集

耳の伝説

解説・永田淳
ISBN978-4-906846-52-8

「かりん」創刊より参加、歌作に評論に活躍する著者の 都市生活者の実感を詠う第一歌集。
昭和53年より詠出された作品より約300首を収録。昭和59年刊行。


ただいま再版準備中のため予約販売となります
価格:720円 数量:
小高賢歌集 耳の伝説 書影
塵かすかつきたる眼鏡冬の陽に見て来し
もののよごれふきとる
青き葉を卓に並べるさびしきかな子はあ
きないを知りはじめたり
あきないについになじめず死にし父の気
質の瘤をひきつぐわれか
夜のそこいにしずみゆくごと風聞けば父
の巨きな耳の伝説

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第1歌集文庫
時田則雄歌集

北方論

解説・三澤吏佐子
ISBN978-4-906846-49-8

第26回角川短歌賞受賞作「一片の雲」を幹とし、昭和56年に出版。第26回現代歌人協会賞を受賞。
「北辺から歌を発射する」という確固たる信念のもと、当時の歌壇と同年代の歌人たちに対して 突きつけた挑戦の証であったに違いない。(解説)


ご好評につき完売いたしました
時田則雄歌集 北方論 書影
  
五百トン牛糞買ひぬ作付図D地六町歩ビ
トを植ゑむ
トレに千個の南瓜と妻を積み霧に
濡れつつ野をもどりきぬ
辛夷一樹一樹なるゆゑこの春も花のおも
さに耐へて枝張る
春泥を蹴ちらし駆けてゐる馬の白きたて
がみ巨いなる腹
  

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第1歌集文庫
大下一真歌集

存在

解説・柳宣宏
ISBN978-4-906846-48-1

読んでいくと、まず年齢不相応におそろしく老成した認識があらわれ、さらにほとばしるように若く切ないフィジカルな情念がうかがわれる。そしてその背き合う認識と情念とが一首の中に鬩ぎ合いながらおさまった時、大下の独特な世界が広がるのだ、といっていいかと思う。(大下一真との出会い――島田修三)
16歳から37歳の作品450首を収める。昭和63年刊行。

価格:720円 数量:
大下一真歌集 存在 書影
かりそめの生命に宿る大いなるものあり
夕べカナカナの声
煩悩と呼ぶにはたやすきかなしみぞ這い
つくばて草抜いている
真夏昼なべて影濃き地の上に訃報いくつ
を束ねて燃やす
来年も熱き日差しの降るころに蝉と呼ば
るるもの鳴きぬべし

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第1歌集文庫
御供平佶歌集

河岸段丘

解説・黒瀬珂瀾
ISBN978-4-906846-47-4

本歌集は時代を越えて読み継がれるべき一冊である、そして特に、短歌初学の若い人に読んでもらいたいと思う。 時代を隔てて変わるもの、変わらないもの、それらをヴィヴィッドに描く感性は、いつの時代も若者を魅了するからだ。 (解説)
著者19歳から28歳の作品539首を収録。昭和49年刊行。
序・松村英一


ご好評につき完売いたしました
御供平佶歌集 河岸段丘 書影
白煙の黒煙となり六十両ひきてたちゆく
汽車のとどろき
ヘルメトの紐あとあかく残る顔あらひて
今日の警備解かれぬ
神流川のむかうただちに関東平野河岸段
丘の杜のふるさと
週刊誌積みあぐる妻の店の前過ぎゆくホ
ム巡邏のわれは

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第1歌集文庫
利根川発歌集

土の音

解説・神作光一
ISBN978-4-906846-46-7

これらの歌には微塵のけれんも冒険もない。素純、誠実、真面目でひたぶるな写実に貫かれている。そこに作者の生活も個性も遺憾なく把握出来る筈である。
(序・平野宣紀)
昭和36年から45年の作品476首を収めた青春歌集。花實叢書第20篇として昭和46年刊行。

価格:720円 数量:
利根川発歌集 土の音 書影
テンのごとくに太く長きつらら下が
りたる山の宿に目覚めつつ
夕茜さす校庭に満ちみちて野球の声のま
だ続きいる
背の青き小鳥は枝を移りながら我が下刈
りの周りを去らず
祖母の柩に落とす土の音渇ける音に涙ぞ
湧ける

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第1歌集文庫
石田比呂志歌集

無用の歌

解説・阿木津英
ISBN978-4-906846-50-4

希なる文学魂をもつ歌の徒石田比呂志の出立の歌集。
序・岡井隆、金井秋彦、安仲光男、吉田漱、我妻泰。昭和40年刊行。


価格:720円 数量:
石田比呂志歌集 無用の歌 書影
抱え持つ七輪の火に輝きて階段を妻の上
がりくるなり
闘争の後のリングがしばらくは映されて
いてテレビは終る
枉げられている意志ひと日持ち重りいま
上り帰る螺旋階段
生涯の曲がり角にて幹若き裸木はまこと
率直に立つ

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第1歌集文庫
藤岡武雄歌集

うろこ雲

解説・星谷亜紀
ISBN978-4-906846-43-6

斎藤茂吉の研究家であり、歌誌「あるご」主宰の著者が20代に詠出した358首を収録。 昭和32年刊行。

価格:720円 数量:
藤岡武雄歌集 うろこ雲 書影
ゆがみたる顔がガラスにうつるとき息ふ
きかけて白くわが消す
あこや貝が孤独守りて育てたる真珠の玉
といひて掌にとる
雛祭の今日を照る日は暖かく早春はきて
どこにでも光る
騒音の街中にきてふと湧きし恋情をわが
あたためてゐる

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第1歌集文庫
中島やよひ歌集

ポケットに歌

解説・若菜邦彦
ISBN978-4-906846-42-9

昭和46年から昭和61年までの354首を収める。大西民子が選歌をつとめた平成2年刊行 の第一歌集。

価格:720円 数量:
中島やよひ歌集 ポケットに歌 書影
モナリザの微笑のごとき月明り銅貨なら
しつつパン買ひにゆく
かくれんぼを知らぬ子供が鬼の子に隠れ
るところを指図されゐる
一斉にわれをめがけてくる鳥のごとしも
泪のこみあげてくるは
二枚ある確かなことを二三枚と答へし
われを今日はゆるせず

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第1歌集文庫
木下孝一歌集

青き斜面

解説・結城千賀子
ISBN978-4-906846-40-5

著者17歳から43歳までの27年間735首を収録。昭和31年から45年までを第一部、31年以前を第二部とする。昭和49年刊行。

価格:720円 数量:
木下孝一歌集 青き斜面 書影
旋回クレンが吊りしフレム我が上を
おし移りつつ日光ひかげ遮る
坑道のふかき底ひを流れゐる水を照らし
つキプライトは
照明燈敵機挟みつつ遠ぞけば近き町並み
くろぐろ見ゆ
鉄兜ちぎれとびしがかへりみず燃ゆる戸
板を踏み走り出づ

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第1歌集文庫
雨宮雅子歌集

鶴の夜明けぬ

解説・水野昌雄
ISBN978-4-906846-39-9

昭和51年刊行。竹田善四郎とともに季刊個人誌「鴟尾」を創刊した、昭和47年から昭和51年まで作品を収録。昭和53年「短歌公論」処女歌集賞。

在庫切れ

雨宮雅子歌集 鶴の夜明けぬ 書影
ゆふぐれのさむき奥処にさがみ野の数珠
玉の実を手に鳴らしをり
午後ぬくきふゆのひかりにいつしかも禱
るかたちに膝つきてをり
貨車の冽過ぎたるひびき残しつつまた月
つきかげに光るレルよ
ごつた煮のかなしみなれやまなうらに若
き日若からぬ日汗にまみれて

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第1歌集文庫
小谷稔歌集

秋篠

解説・倉林美千子
ISBN978-4-906846-37-5

読後には誠実に生きる一人の人間がしみじみと浮かび上がる。静かなるが故に内に貯えるものが深く、読者は一首一首の前に、時代を感じ、共感しながら立ち止まることが出来るだろう。(解説・写生派の指針として)
昭和57年刊行。著者19歳から50歳までの32年間に「アララギ」掲載された835首を収録。

価格:720円 数量:
秋篠 書影
勢よく街路の下より出づる水きたなき川
の芥を流す
兒童らの下げくる下駄の鼻緒すげ四角に
なりぬ吾の手拭
ことば少なきこの日を逢ひよ灯の下に栗
を分かちて相別れたり
狭き廊下にデモの生徒らを押し返すその
肩も背もやはらかにして

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第1歌集文庫
来嶋靖生歌集

解説・小高賢
ISBN978-4-906846-36-8

『月』を読んでいると「戦後」の風景が浮かんでくる。例えば、貧しさ、勤労、志、非戦・反戦・平和、不当なものへの怒り、師弟友情、学問へのあこがれ、文学への畏敬……。(解説・戦後精神と短歌)
昭和51年刊行。20歳から45歳までの作品336首を収録。

価格:720円 数量:
月 書影
はたらきてこの日も終へぬ風鳴りを遠く
聞きつつ階段のぼる
瑣末なることにこだはりゐしわれよ今宵
は魯迅を読みて眠らむ
やはらかにさしくる月の光負いて肩幅せ
まき男歩み来
思ひ出ては苛立つことの多き夜を声つつ
ましく鈴虫の鳴く

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第1歌集文庫
高野公彦歌集

汽水の光

解説・木畑紀子
ISBN978-4-906846-35-1

【再版出来!】
著者29歳から34歳までの作品377首を収める。昭和51年発行。 大岡信による解説「意識の夜の歌」を附す。

価格:720円 数量:
高野公彦歌集 汽水の光 書影
少年のわが身熱をかなしむに杏子の花は
夜も咲きをり
守しきわが沈黙のふかみにてずぶぬれの
鳥のごとき言葉ら
白き霧ながるる夜の草の園に自転車はほ
そきつばさ濡れたり
時すぎし悲しみなれば梁のごとしづかに
なりて人を思い出づ

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第1歌集文庫
大辻隆弘歌集

水廊

解説・山吹明日香
ISBN978-4-906846-34-4

平成元年発行、著者20代後半の作品集。
初版本解説・岡井隆


価格:720円 数量:
大辻隆弘歌集 水廊 書影
港湾のゆらめきやまぬかがやきに鳥落つ
るまでたたずむひとり
指からめあふとき風の谿は見ゆ ひざの
ちからを抜いてごらんよ
日曜をつぶして書きし文章の完膚なきま
でたたかれあはれ
朝のきにきらめき返す水の襞うつむいた
まま夏が終るよ

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第1歌集文庫
島崎榮一歌集

解説・安森敏隆
ISBN978-4-906846-33-7

昭和37年から47年までの作品428首を収める。
20~30代の鈴木幸輔の選による作品集。

価格:720円 数量:
島崎榮一歌集 鮒 書影 書影
少年の駈けぬけし後に一本の竹が突き立
てり寒き草はら
少年がきて棒切れを振りながら夕焼けの
日を枯野に移す
霜の夜の空をながるる雲の音きこゆごと
き道をあゆめり
枯芝は暗くなりつつ寒く見ゆやがて大歳
の夜となるべし

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第1歌集文庫
大島史洋歌集

藍を走るべし

解説・佐伯裕子
ISBN978-4-906846-32-0

著者10代から25歳までの作品を収め、昭和45年に発行。
観念をもって世界を追い詰めていく若さあふれる作品集。


価格:720円 数量:
大島史洋歌集 藍を走るべし 書影
降り続く雨に一日をおくりつつ巣を張る
如き感情のあり
そびえ立つ一本の木よ高ければそれだけ
僕の悲しみのます
青色のくにをおもえばふるさとの湖にた
だよう黒き雨傘
かぎろいの燃えたつなかに塔はたち 登
れば君らにたおされるまで

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第1歌集文庫
伊藤一彦歌集

瞑鳥記

解説・大口玲子
ISBN978-4-906846-30-6

昭和49年に発行された『瞑鳥記』に「初期歌篇・未明まで」を附す。 歌人伊藤一彦の出発点。

価格:720円 数量:
伊藤一彦歌集 瞑鳥記 書影
水中のようにまなこは瞑りたりひかるま
ひるのあらわとなれば
かたくなに吊されている玉葱ら月夜する
どくかがやきをもつ
よみがえりくる怒りあり時雨れいる午後
をしきりににおう酢の壜
おびただしき穴おとこらに掘られいて恥
深きかなまひるわが街

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第1歌集文庫
永井正子歌集

琴心

解説・三浦槙子
ISBN978-4-906846-28-3

北陸の歌人の、現実の具体のみならず、抽象的普遍性を内包する写実短歌352首。
昭和59年発行。

価格:720円 数量:
永井正子歌集 琴心 書影
はかなげに舞ふ片々の白き雪傘を圧しく
る重さとなりぬ
数粍の畳の嵩に躓きて父のかなしきまな
こを向けぬ
みじろがぬ肩より吾の手を離す拠りどな
きもの二つてのひら
くぐり来し若葉のしづく匂ふ髪手に触れ
しめて今宵導く

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第1歌集文庫
三浦槙子歌集

秋果

解説・橋本喜典
ISBN978-4-906846-23-8

祖父・窪田空穂は私が中年になって突如短歌愛好者になったことを知りませんが、私の方は、短歌を知ることで、知らなかった祖父を知るようになりました。(後記)
平成2年発行。

価格:720円 数量:
三浦槙子歌集 秋果 書影
僅かなる緑に降れる夜の雨移りこし町に
いまだ日を経ず
象牙もて身を飾るより草原に生かしおき
たし象の親と子
野たれ死するが本望と憎きかな老いて熟
さぬ父の言の葉
台所に立ちて思ふにかなりなる此の世の
ことはここに繋がる

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第1歌集文庫
春日真木子歌集

北国断片

解説・稲村恒次
ISBN978-4-906846-24-5

「水甕」代表・春日真木子の原点。昭和47年発行。
凜とした矜恃、マグマのような生の息づきと、それを統御しようとする理性が光る。昭和47年発行。

価格:720円 数量:
春日真木子歌集 北国断片 書影
妻なりし過去を持つ肢体に新しき浴衣を
存分に絡ませて歩む
波立てる草原のなか不敵なる顔をさらし
て黒牛のいる
憐れまるより憎まれて生き度し朝々に頭
痛き迄髪ひきつめて結う
春寒の風に音なく靡きいて枯れたる葦の
乱れを見せず

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第1歌集文庫
長澤一作歌集

松心火

解説・山谷英雄
ISBN978-4-906846-21-4

昭和26年から32年の作品520首を収め、昭和34年に発行。
重厚で完成度の高い鮮烈な、鮮烈な抒情。
第4回現代歌人協会賞受賞。

価格:720円 数量:
長澤一作歌集 松心火 書影
宵はやき路上に松の心を燃す赤き炎を歩
みつつ見し
原子雲白く盛りあがりゆく写真吾の見し
のち幼児も見る
霧の中に路地の電灯はともりをり霧も電
灯も黄色く見えて
速かにめぐりが昏れてゆくときに炉のな
かの澳いよいよ赤し

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